日々、ご利用者の自宅を回って病状や療養生活を看護の専門家の目でケアしたり、アドバイスしたり、訪問看護ステーションの仕事は多岐にわたります。
「訪門看護ステーション はーと」では、緩和ケアやターミナルケアなども行っているので、時には死別を経験しなければならないこともあります。
1年に1回でもいい、ご家族と思い出をゆっくりと語り合える機会がつくれないだろうか。そんなご相談から、今回の「Story」は、はじまりました。
いつもは、気軽に立ち寄ってコーヒーが飲めたり、いろんなセミナーが開催されたりする、訪問看護ステーション併設の「みのりカフェ」。
見慣れたカフェのテーブルも、白いクロスを掛けるだけで雰囲気が変わります。
当日の朝はさわやかな青空となりました。
「訪問看護ステーション はーと」ご利用者16家族と、ドクター、看護師さん、スタッフのみなさん。久しぶりの再会に、自然と笑顔が生まれます。
見慣れたカフェのテーブルも、白いクロスを掛けるだけで雰囲気が変わります。
あらかじめ、思い出の品を持ってきてください、とお願いしたところ、記念写真、表彰状、好物のチョコレートなどが集まりました。
祭壇や窓際の桜が咲くカフェで、ハープの献奏が始まりました。目を閉じ、大切な人との記憶を思い出す人、体を揺らしながら音色に聞き入る人、涙する人。
ひとりひとり、白いカーネーションを献花します。大切な人に手を合わせ、偲び、祈り、そしてまた笑顔でいられるように。
あの頃の話題は、病気のことばかりでした。
今はこうして、美味しいものを美味しいねと笑いながら、大切な人との思い出を分かち合うことができるようになりました。
食事がひと段落したところで、ひとりひとりにカードが渡されました。このカードに、大切な人へのラブレターを書いていくのです。
心のこもったラブレターを、一枚一枚祭壇へ。会が進むにつれて、祭壇にみんなの想いが反映されていきます。
参加なさったご家族全員、大切な人を自宅で看取ったという経験があります。だからこそ、わかりあえることも、わかちあえることもある。
大切な方にお手紙を書いてきたご家族も。あの頃は言えなかった気持ちを、今、ここで伝えます。
そして、たくさんの笑顔と会話で会が締めくくられました。
大切な方の楽しい思い出。ご家族自身のこと。ドクター、看護師さんのこと。ここから、また新しい毎日が始まっていきます。
(記事提供:Story)